2013年3月12日火曜日

古典技法


写真というメディアがデジタルに移行するにつれ、暗室用の機材もなかなか手に入りにくくなった。もちろん、フィルムや印画紙、現像用のケミカルなどもどんどん商品のラインアップが減ってきた。

ぼちぼち「趣味」ではなくなりつつあり、市場からなくなるのも時間の問題と思わずにはいられない。作業をするには材料を集める工夫と労力が必要になってくるようになる。
生き残る手段とすれば、アートとか工芸とかのジャンルだろうか。早くて数年後、遅くても10年経たないうちに、ケミカルを使用する写真暗室作業は「古典技法」になるのだろう。作業をするために、既成の調合薬品はなくなるから、天秤ばかりでそれぞれの薬剤を調合するところから始めることになるのかもしれない。絵画の「古典技法」を再現することと似たようなものだ。

ただ「便利」ということと、「表現」ということや、「面白さ」ということとはフェーズが違う。確かに、デジタルというのは便利だが、それ以外の価値を認める人がいれば「表現手段」として生き残ることはできるかもしれない。あるいは、写真の原理を知ることは、デジタルの世代にとっても有効だとは思う。

単に「レアでコアな趣味の世界」としてだけ生き残るのが寂しいと感じるのは、アナログ世代だからなのかもしれない。

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