暗室作業というのは、料理のレシピ作りに似ている。
毎度同じ仕上がりにするために、手順や作業をデータにして自分なりの「基準」をつくる。
気分によって出来上がりがその都度違うようでは、「複製」はできないし、仕上がりのコントロールができないからである。
学生を見ていると、そういった作業が得意なのもいれば、不得意なのもいる。不得意であっても、最終的に「暗室マン」を目指さないのであれば、コントロールの方法が分かればディレクションはできる。
不得意な学生は、あまりマメで几帳面ではなかったり、悪く言えばものぐさ、よく言えば要領よく作業をしたいタイプだったりする。
引き伸ばし作業では印画紙を扱うとき、安全光という赤い電球の下以外では感光してしまう。露光の直前に印画紙を出して、露光が終わったらすぐ現像、という作業を指導する。
ある学生の仕上がりは、なぜか印画紙の周辺が感光して真っ黒くなっていた。製品のパッケージングが甘くなったのかと思ったが、テスト露光をしてもパッケージ内の印画紙は「普通」である。
その学生は、一度に一枚ずつ印画紙を出すのが面倒くさいのだろう、数枚をパッケージから出して引き伸ばし機の下やイーゼルの下の隙間に滑り込ませたりしていた。露光のたびに光が回り込んでかぶっていたのだった。
暗室作業は手順通りにやる、というのが原則である。
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