こういった各種学校の教室や、美術館のワークショップの現場を見ていると、美術の原点を見ているような気がする。
もちろん、大学の授業や教室の方が、技術的なレベルは高いかもしれない。では学生が「楽しく」やっているかといえば、そうではない学生もときどき見てしまう。
大学に来る学生の場合は、たいていが高校くらいで志望学科や志望校を絞り込んでいたりする。美術学校で実技試験が入学試験にある場合は、特に集中して受験勉強することになる。そうすると、ときどき「オーバーヒート」な状態の新入生になってしまったりする。合格することが彼らの「ゴール」であって、4月からの学生生活にはあまり覇気がなかったりする。
「ほんとはここに入学したくはなかった」という学生さんも、ときどきいる。残念ながら不合格だった人にはとんでもない話だが。いわゆる「滑り止め」であったり、予備校や高校の「ご指導」を鵜呑みにしてしまったタイプである。4月からモラトリアムなタイプである。
いやいや勉強するよりも、楽しく自分が勉強したいことをした方が精神衛生上はるかに良いに決まっている。先の学校の生徒さんたちが構内で楽しそうにスケッチしているのを見るのは、こちらの精神衛生としてもありがたいことである。