世の中狭いので、誰がどこにいて、何を見聞きしているか分からない。
電車通学だった中学校では、電車内のマナーをしつこく注意された。制服を着ていると、どこの学生か分かるので、マナーの悪いのがいると、当該学校に「ご注意」のご連絡が来る。そんなことのないように、としつこく注意された。ひとりだけが悪くても、制服を着ていれば「代表」のようなもの、学生全員が「悪い」ように見えるからである。
実家の家訓に「大学の近所のそば屋で呑むな」というのがあった。
曾祖父は大学で教えていたそうなので、その頃の話である。勤務先の近所で飲食店に入ると、誰に出会うか分からない。特に学校の近くであれば学生さんや同僚に出会ってしまう可能性大である。
「あの先生は天丼と盛りだった」くらいを学生に目撃されるだけならまだいいが、アルコールが入ってしまうと、クチが滑ってしまうかもしれない。私が学校に残って勤務を初めてなるほどなあ、と思った。
会社の近所の居酒屋で上司の悪口、というのは定番だが、これとて誰がどこで聞いているか分からない。小中学校の先生は声が大きいので、ことに飲食店でもよく分かったりする。教頭や校長の話、今日の授業の話、生徒の話など、同じ空間なら筒抜けである。保護者が聞いたらどうするんだろう、という話題すらあったりする。
最近の大衆居酒屋だと、ご父兄の飲み会、というのもある。お母さんたちが集まって、PTA総会分科会のようである。これもアルコールが入り、声が大きくなると、「なんとか先生」の噂話に花が咲いていたりするのがよく聞こえる。
世の中狭いのである。誰かが聞いているかもしれない。
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