2012年10月13日土曜日

調整


学校のカリキュラムには「選択」という科目がある。
専攻科目や学校によってずいぶん違うのだろうし、文化系理科系実技系でも選択できる「幅」というのもさまざまである。
選択授業というのは、学生にとって「嬉しい」ものに見えるようだが、準備する方は大変である。
私が授業をしているのは「実技系」なので、ことさらである。

学生の方は毎年入れ替わる。前年度と同じ資質や嗜好を持つ学生さんが来るとは限らない。前年度は大入り満員なクラスが、翌年は減少、数年後に閑古鳥、もう少し数年後は希望者ゼロ、というケースがあったりする。希望者に応じてクラスを増やしたり、エキストラのクラスを増設したり、あるいは廃止したり、といったことは、カルチャースクールや私塾ではないので、大学では基本的にはしない。希望者ゼロなら、今年度休講、来年度調整期間、希望者がほとんどいなければ数年間休講して、その間にカリキュラムの変更調整をしたりする。専攻科目内の授業との調整、学内各機関との調整と忙しくなる。
あるいは、学生にとっては、選択したい授業がない、というケースもある。選択したくはないが単位のためには何か「取る」必要はある。カリキュラムを組む側は、消極的選択のための「受け皿」も考えたりしなくてはならない。

「選択肢が多い」ことが、入学希望者を引きつけるマジックワードだったりするのだろう。「さまざまな授業が希望に応じて受けられます」という文句が、学校案内には大きく入っていたりする。学生さんを見ていると、選択は個人の趣味嗜好を反映してはいるが、長期的な学習計画に沿ったものではないと感じることがある。好きな科目だけを受けていて、本来の学習目的を失わないか、時々心配したりする。

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