2014年5月15日木曜日

貸与

担当している授業では、受講生すべてに機材を用意できない。

学校にも予算と言うものがある。全員に同じ機材が均等に貸与できれば良いのだろうが、現実問題としてはそれは難しい。学生に「自分でまかなえ」と言えれば楽なのだが、授業で使う機材をすべて買わせるとなると、1年分の学費相当に近い費用になる。もちろんそれが4年間使えるかと言えば、今の機材の技術進歩や開発スピードから言えば「ビミョー」である。制作のクライマックスの4年生になったときに、最もスペックの高い機材が欲しくなるからである。

私の頃だと、写真関係の機材は全部自前、というのが前提だった。今は昔、フィルムの作業である。カメラはもとより、撮影機材も暗室機材も消耗品も全部、である。全部新品で揃えると相当な金額になるので、授業が終わり、御用済みになった中古品を先輩から安く譲り受ける、という裏技があった。丁寧に使えば、10年やそこらは使えるので、私で何世代目だろう、というのもあったりした。

映像と言うのは、昔も今も、お金がかかる表現である。特にデジタル世代になって、ランニングコストは安くなったのだが、初期投資の機材は高額になった。高額な機材であれば、授業用に全員分は揃えられないので、何人かでシェアすることになる。したがって、授業では数名のグループ制作で、そこに機材をワンセット貸与する、というスタイルになる。
このときに、グループのメンバーの経験とか知識とかが、ある程度ばらけていないと、クラスの制作の足並みが揃わない。担当している授業で言えば、ビデオカメラで動画を撮影したことがあるか、コンピュータで動画を編集したことがあるか、くらいの経験を聞いて、グループごとに同じくらいの経験者数を入れるように組んでいく。

単純に「名簿順」などとやっていくと、あるチームはやけに経験者が多く、機械の使い方に精通しており、やたらテクニックに走る。あるチームは、全員典型的な初心者で、電源ボタンの見分け方から教えなくてはならない。
経験者と初心者をある程度混ぜていくと、初心者に経験者が教えていく、という作戦が出来る。初心者に教えることは、経験者にとってもメリットがあり、自分の技術レベルを再確認することにもなる。

これも事前にアンケートをとってもらい、仲良しグループや他の先生の情報も加味して、グループに組んでいく。先生の授業準備は地道である。

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