2015年7月6日月曜日

走る

さて立ち戻って、ここ1〜2年の作品がどうかといえば、ひとことで言えば「単純」、分かりやすいものなのだろうが、「だから何なんだ」というものが多い。

以前からあったのだが、ここ数年で増えたのは「遅刻ネタ」である。
校門から学生が走り込んで来る。アプローチを走り、中庭を走り、ピロティを走り、階段を駆け上がり、廊下を走り、教室のドアから中に入る。途中でチャイムが聞こえる。走っている途中、ドアの寸前、入った後、のパターンである。

自己紹介の意図としては、遅刻しがちな性格、というところらしい。問題なのは、単に走っているだけで、「いつも遅刻する」「いつもギリギリに教室に来る」というような習慣性は映像では表現しにくいということだ。単に教室に走り込む、という「移動状況」しか見えない。これが「いつも」なのか、今日は「特別」なのかは伝わらない。あるいは、下手をすると「駆けっこ好き」に見えてしまう。

たいていこのような意図だと、カメラが被写体と一緒に走ったりフォローしたりするのも多い。問題なのは、カメラマンの視点を意識しない学生が多いので、どちらかといえば「走る人物を追うストーカー」な映像になってしまう。「走っている人物」ではなく、「遅刻の女子学生を追うストーカー」を紹介してしまうことである。

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