2015年7月18日土曜日

アドレナリン

ばたばたと過ごしているうちに7月も半ばである。授業の方はすでに終わり、学生の方はテストやレポート提出を残すのみ、といったところである。実技系の授業では試験はないが、課題の提出、というのがある。

たいていの学生は、間際までのんびりと過ごしていて、数日前からやっと腰を上げる。締め切り寸前までスパートしない、という癖を「崖っぷちの魔術師」というニックネームでカバーしていているのがいた。考えてみれば、寸前でじたばたするなら、数日前からじたばたを分散させていた方が良いことはわかるはずだ。今の年齢だと心臓とか血圧にはすこぶるよろしくない。美術学校ではそういった理屈は通らず、崖っぷちにならないとアドレナリンが出ないのか、自分を追い込むつもりなのか、そこで実力120%を目指す学生も多かったりする。

もちろん絵画や彫刻など、肉体労働ならそれはあり得るかもしれない。人間火事場の馬鹿力というのはあなどれないからだ。
ただし、機械にはそんな理屈は通らない。

ビデオを扱う授業をやっているのだが、たいていの学生は間際になるまでのんびりとしていて、締め切り数日前からスパートする。機械の方は日頃のんびりと過ごしているのに、締め切り間際数日だけがモーレツに稼働することになる。人間には火事場の馬鹿力はあるかもしれないが、機械にはない。締め切り間際だけ、コンピュータの処理速度が速くなったり、スーパーマルチタスクに変身したりはしない。焦ってリターンキーを押し続けてフリーズしたり、無理な処理をかけて熱暴走させたりする。
機械は締め切り間際に故障しない、とタカをくくっている。そんなことはない。突然無理に働かせたら機嫌が悪くなる。

機械を扱うときは、緩急なく平均的に、というのが原則である。

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