2015年7月5日日曜日

ステレオタイプ

さて立ち戻って、ここ1〜2年の作品がどうかといえば、ひとことで言えば「単純」、分かりやすいものなのだろうが、「だから何なんだ」というものが多い。

以前からあったのだが、ここ数年で増えた「紹介」は「音楽好き」である。
学生が画面に入ってくる。椅子やベンチに座る。カバンからステレオイヤホンとプレーヤーを取り出す。イヤホンを耳に突っ込み、プレーヤーのスイッチを押す。体がリズムを取り始め、踊り出す。半数以上はフレームアウトして空舞台で終わる。

たぶん普段はそういう生活や嗜好があるんだろうなあと思うのだが、「だから何なんだ」という印象になってしまう。ひとつは、伝えたいことやその表現が「ステレオタイプ」であることだろう。一般的な音楽プレーヤーのコマーシャルをそのままなぞっているが、映像としての展開が少ない。舞台に入って出て行く、という演劇的な手法を使うので、ラストカットの意味が希薄になる。映像としての構成があまり考えられておらず、普段の生活の範疇でしか想定しないことが多い。

大抵の学生さんは「音楽好き」である。「音楽嫌い」という学生にはあまりお目にかからない。もちろん映像では肯定的なことを伝えるので、「嫌い」であることを伝える方が難しい。まあしかし、「作品」あるいは「表現」にするにはここからが一工夫いるところである。

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