翻って以前の学生さんの作品がどうだったかといえば、ひとことでいえば今よりも「難解」なのが、時々出現した。
自分が引っ込み思案だ、という紹介をしたいとする。例えばこんなものが出てくる。
教室でも廊下でも誰かの後ろを三歩離れてついていく。
紙袋やマスクをかぶって、学内で立っている。
トイレでぼっち飯中。
教室の端っこでイヤホンを耳に突っ込んで窓の外を見ている。
30秒という尺なので、文脈をつくるほどの時間が取れない。だから得てして「ストーカー」「変な人」という印象になってしまう。
本人の制作意図を聞けば納得できるのだが、いわゆる「考え落ち」になっていることが多かった。言葉の連想ゲームから「アテ振りをする」という作戦である。
引っ込み思案→友達とあまり一緒にいない→自分を見せるのが得意ではない→一人で顔を隠して立っている→頭に紙袋をかぶって顔を隠す、という思考回路である。ところが映像では、クラフト紙の紙袋を頭にかぶった学生が学内で立っている、だけである。なぜ紙袋をかぶっているのか、なぜ学内に立っているのか、それだけではわからない、というのが課題の解題である。
連想ゲームの結果から、最初の「お題」を、同じ「言葉」として感じさせるのは、難しいのである。
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