2015年7月3日金曜日

普段どおり

ばたばたと過ごしているうちに7月である。
新学期にはぴかぴかの1年生だった学生が、すでに場馴れして緊張感のかけらもなくなってくる時分である。

担当している実技授業では、学習分野におけるさまざまな意図があったりはするのだが、1年生のクラスの最初の課題は、平べったく言えば「自己紹介」である。
言葉や文字という言語情報を使わずに、30秒の映像だけで自己紹介してね、というのが「お題」である。ここ10年ほど同じ課題をやっている。だから、年度ごとの特徴があったり、クラスごとの特徴があったりする。特に、時代背景のようなものが見えてくることがある。

クラスの8割は映像制作をしたことがない、という初心者である。1割は、高校で自主制作映画を作ったり、放送部でドキュメンタリーを作ったりしたことがる、というのがいる。クラスの3割ほどはアニメオタクや漫画オタクに近い嗜好があるが、映画オタクはいない。ここ1〜2年は、携帯やスマホで動画を撮影し、そのまま友達と共有する、という使い方をする学生が、クラスの半分以上に増えた。
そのためかどうかわからないが、最近の顕著な傾向は「自撮り慣れ」していることと、「普段の生活」を描きたがることだろう。
やけにカメラ目線でアピールする自己主張のある作品が増えた。レンズの向こうに想定しているのは「友達」である。やたらに歩いたり走ったりしてレンズに近づき、手を振ったり、首を傾げてにっこり笑ったりする。コスプレも増えていて、なぜか高校の制服やかぶりものを着ている。菓子バンやお菓子にかじりつき、耳にイヤホンをさしてノリノリになる、というのも増えた。

自分を客観視していない、という印象の自己紹介が増えた。普段の生活の自撮りの延長線上で映像を撮影している。いい意味で「天然」、悪い意味で「ホームビデオ」でしかない。

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