他の会社の話である。
高齢なのだが、設立者だったこともあって、未だに「会社に来てしまう」、元「お偉い人」である。
筆まめ、世話好き、宴会好きで、あちこちに出向くことを厭わない。すでに80はとうに越しているのだが、元気なじいさんである。
夏にお祝いごとなイベントがあって案内状を出した。いつもなら、速攻で電話がかかってきて「行くからねー」と元気な声が聞けるのだが、今回は電話がない。具合でも悪いのかと思って電話をすると「案内状はもらっとらん」。案内状は会社宛に出しているのだが、どうも担当部署が元「お偉い人」に渡していないらしい。以前の部下だった人に遠回しに事情を聞いた。
会社としてはいつまでも元「偉い人」が出勤することを快く思っていないらしい。じいさんが若い頃と違って、会社は大きくなり、組織的になっている。ワンマンなじいさんに振り回されるのはちょっとねー、というニュアンスである。もちろん高齢なので、出先で具合が悪くなってもよろしくない。しかし「付き人」をつけようとは思っていないらしい。言外に「早くリタイアして引っ込んだ方が…」ということである。だから、会社に来た案内や手紙をすぐには回さないらしい。
実力主義、成果主義な会社になると、せちがらいなあと思ってしまう。