もっとも、映像系の機材はもともと最初から「電気駆動」であったわけではない。
学生時代に使っていた16ミリフィルムのムービーカメラは、「ぜんまい」を巻いて駆動していた。ぜんまいをいっぱいに巻いてシャッターボタンを押すと、「ジー」と言いながらモーターが回り、撮影する。ゼンマイの最後の方はだんだんスピードが遅くなってくる。いっぱいに巻いて27秒、だから実際に定速度で撮影できるのは20-25秒ほど、という「お約束」がある。それでフィクション映画を撮るわけだから、カット割りをかなり考えておかなくてはならない。長回しは「なし」、だった。
35ミリのフィルムカメラは、基本的には「メカニカル」だった。内部露出計とファインダー内部の計器視認用だけに電池を使う、というものである。
私が使っていたカメラは、その後の世代で、シャッターは電子制御になっていた。だから、電池が切れたら、シャッタースピード1/250secだけはメカニカルで動きます、と言う仕掛けがあった。ロケに行って電池が切れたり、電池の補充が出来ないところで撮影することを想定した機構だろう。その上位機種は「戦場カメラマン御用達」だった。
そういう機械を扱っていた世代から言えば、今の「映像」系の機械は全部「電動式」である。バッテリーがなければ、一切動かない。デジタルカメラなど、光学式のファインダーもなかったりするので、レンズの視野すら確認できない。
便利なんだか、不便なんだか。
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