インターネットでメールを使うようになってしばらくになる。使うようになった、ということは、一方で使わなくなったものもある。メールでやりとりするようになって、急激に使用頻度が落ちたものにファックスがある。
ファックス、という機械が出現したころは画期的だった。なにせ、自宅にいて、海外と即座に文書のやりとりが出来る。国際電話だと時差があるので、先方のオフィスアワーに電話するのに夜中に起き出さなくてはならない。致命的なのは、会話力の差なのかもしれないが、それよりも前に、あの「タイムラグ」でなかなか意思が通じなかったことだ。おかげで、新聞社でテレックス、などというものを拝借したことがあったくらいだ。
ファックスが出てきて一番先にやったのは、ホテルの予約とその確認だ。テレックスも今や死語だが、今やファックスもその後を追いそうだなーと思っていた。
電子メールの少し前は、文書のやりとりは郵便よりも早いファックス、というのが便利だった。ぴろぴろー、という音色を聞いていると、機械さんが一生懸命通信している実感があった。
電子メールになってから、それよりも高精細、大量の文書もあっという間に送れるのである。もちろん、あっという間に、ファックスの使用頻度が激減した。しばらく使わなかったので印刷用紙が残り少なくなっていたり、用紙切れで受信できなかったり、インクリボンの具合がよろしくなかったり、などというトラブルとは無縁である。
何かの時のために、自宅でもファックスを置いてはいるが、私の仕事に関しては、ファックスのやりとりはほぼ皆無になった。せいぜいあっても、家電修理の見積もりを送ってもらうくらいである。
同居人の方は、未だにファックスのやりとりがある相手がある。電子メールなど使いこなせない年寄りだと思われているのかもしれない。早朝、ぴろぴろーとファックスを送信している。
ところが、同居人の勤務先では、最近ファックスが復活した。電子メールの添付ファイルにウィルスが入っていた、ということがあったらしい。ウィルス対策していれば問題はないのだが、役所というのはそういうことにあまり強くない。対策を立てる前に用心、ということになったらしく、メールサーバーで添付ファイルが使えない設定にしたらしい。ファックスならウィルスは来ないのだろうが、やはりこちらも、早朝ぴろぴろーとやりとりをしている。
アナログな風景復活である。
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