いまどきの、とマクラがつくようになったら年寄り、と言われる。若いもんに「昔の」などと、生まれる前のことを言っても意味はない。彼らには「いま」しかないからだ。
まあそれでも、年をとってみると、以前との比較で考えることは多くなる。大学の1年生相手でよく考えるのは、高校までの教育成果としての「学生」さんである。
年寄り世代になくて、いまどきの学生にあるのは、「情報科」という科目である。コンピュータとか、情報リテラシーを教える、という科目である。一方減っているんだろうなあと思うのは、いわゆる工学系の技術科、家事系の家庭科である。男子でも5寸釘が打てない、図面が読めない、女子でも裁縫が出来ない、包丁が扱えない、という場面を見かける。個人差なのかもしれないが、授業でやったのでは、と聞いたら、やってません、と堂々と答える。おうちのお手伝いもしたことがないのだろう。
ではいまどきの学生さんは、情報系はばっちり、なはずだが。簡単なプログラミングをやったことがある学生から、パワポで何かつくったことがある、インターネットで調べものをした、程度までかなりばらつきがある。情報科には、学習指導要領などというものがないような印象すらある。教える側の能力差が大きい、と言えばそれまでだろうが、義務あるいはそれに近い教育制度で、なおかつ、いまどきのリテラシーとして重要な「情報」系の科目で、それはまずくはないだろうか、と思う。
今や昔、であるが、技術科という科目でも、学校によってはかなりばらつきがあった。私の世代の男子に聞くと、エンジン全部分解再構築、丸太から板を切り出して椅子と机を作る、などというのがあった。私は女子校だったので、家庭科オンリー。やはりお裁縫が多く、ボタンホールはフランス風を教わった。中学生の頃、ブラウスやスカートをつくったのだが、ジャストサイズで型紙をつくったのが4月、出来上がるのが数ヶ月後で、出来た頃にはサイズが変わっていた。成長期まっただなか、だったのである。
いやしかし、今考えると、エンジン分解など面白そうだなあ、と思うのだが。
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