2017年4月30日日曜日

対価

先日のニュースで、とある大臣の発言が取り上げられていた。「学芸員はがん」。その後も失言があったようで、その後辞任した。
ともあれ、美術館でいささかのお仕事をしている身としては、ちょっと気になっちゃうところである。いやいや学芸員は雑芸員で、がんではない。
>もとい、見出しだけだと非常にセンセーショナルである。間髪を入れず、twitterではお祭り状態だった。
当の発言をした大臣の人となりや経歴、発言のリソースとなっていそうな資料、言及した施設のデータなど、インターネット上の人たちは、よくよく集めてくるものだと思う。こういうのが集合知なのかもしれないが、怖いところでもある。
先日の、とある航空会社のオーバーブッキングのニュースもそうだった。前後関係がよくわからないまま、引きずり出されている男性しか見えない。次第に、その人物の過去の業績や、勤務先などもあちこちに雨後の筍のように出てくる。航空会社炎上、ではなく、被害者炎上、になりつつあった。そもそもの問題の発端とか、根本的な解決策に向かっていかない。なぜかテレビのニュースでも、インターネットの情報をそのまま出したりする。ジャーナリズム、というのは、日本の報道では認識されていない、ような気さえする。
インターネットで情報を入手するようになった以上に、「発信する」ことがらくちんになった。らくちん、ということは、それなりの対価がある、ということでもある。タダほど高いものはない。

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