2013年12月3日火曜日

オプション

ファックスがあった方が、就職活動に便利だよねー、などと言っているうちに、世の中に「移動できる電話」というのが出現しつつあった。
「マルサの女」に出てくるような、ショルダーバッグに受話器のついたような「携帯電話」は、まだまだ高嶺の花だった。

バブルの時期に世の中に出てきた「ラグジュアリーなマイカー」では、「自動車電話」というのが「ラグジュアリーなオプション」である。
運転席と助手席の間に受話器が鎮座ましましているのだが、自動車のオプションである。自動車のバッテリーから電源を供給する。だから、キーをさして電源を入れなくてはならない。

授業に来ていただいている先生のうちの一人が、「ラグジュアリー」なお車に、自動車電話をつけた。ご自慢である。何かというと、自動車から電話がかかってくる。

「あー、ちょっと今日の授業は遅刻しそうだ。いま、途中まで来ているんだけど。実は出がけに郵便屋が来てねえ」
…自宅を出るのが遅くなるのだったら、自宅からお電話いただいても良かったんですけど。

「明日の授業の確認なんだけどねえ、おっと赤信号だ」
……打ち合わせはとうに終わっているんだけど。

まだまだ普及率が低いので、「運転中は通話禁止」などという認識もなかった時代である。

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