テレックスを借りに行った新聞社は、ちょっとモダンな建物である。外から見ると雨樋のパイプがきれいにならんでいる。屋上のパイプの突端に、鳩の彫刻が乗っている。ほぼ原寸大なのだろう、地上からではちょっと見にくいので、小さな双眼鏡などあるとベストである。
新聞社に送る記事や写真を鳩に持たせて、記者が取材先で鳩を放ち、本社に帰らせるのである。新聞社の屋上には鳩小屋があり、鳩専門の職員がいた。
早く確実に帰ってくるのが良い伝書鳩である。ドバトではなく、きちんと管理されていて、良い雛はそれなりのお値段で売買される。
巷でも「鳩レース」というのをよくやっていて、鳩小屋のある家が街中にときどきあった。
今はもう、新聞記事は運ばなくなっているだろう。ただ、数年前の震災時に思ったのは、こういうプリミティブな手段も維持しておかないといけないのかも、ということだった。電気もなく、電話も、もちろん交通手段も不通なら、連絡手段は限られるからだ。
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