2013年11月25日月曜日

応答

卒業後しばらく大学の研究室で助手をやった。
研究室のスタッフはほかに「教務補助」がいる。助手は月給取りだが、教務補助はアルバイトで、週3日の勤務、研究室の維持管理(つまり簡単なお掃除とか、備品の管理とか)、学生との応対、事務作業(学校も役所と同じで、日々細かい伝票が行き来する)、電話の取り次ぎなんかである。

ある年の教務補助さんは、抜群に電話の取り次ぎが上手だった。教えるよりも前に、教わってしまったくらいである。
おうちでご商売をしていたのでその関係かと思ったら、さにあらず。学生時代のアルバイトは場外馬券の電話オペレータであったそうだ。
普段しゃべっている声は、なんと言うことはないのだが、電話口での会話の声質がとても良い。いわゆる、マイクのりがいい、という感じだ。受け答えは間延びせず、ハキハキとしていて、要点を繰り返す。
おおすごいねえ、と言ったら実際の受け答えを実演してくれた。


コールセンターの応答のコツは、間違えない、聞き違えない、のが大前提であるが、先方によけいな会話をさせないことが肝要なのだそうだ。携帯電話のない時代、公衆電話、会社や家庭の電話でセンターに電話するのだが、先方の会話で周囲の人に「馬券買ってる」と思わせないようにするのがコツらしい。微妙な心遣いである。

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