2016年6月25日土曜日

傾向

ここ10年ほどの傾向は、と言えば、ほぼ全員が現役で入学してくる学生になったことだ。
留学生は語学学校へ行ったりするので、1−3歳ほど年上になるが、日本人はほぼ9割が現役である。日本少子化による全入時代である。浪人していたと言っても1年ほどで、私の世代のように2浪3浪がごろごろ、というのはあり得ない。
ほぼ8割が首都圏出身者である。地方にさまざまな大学が新設され、美術をやろうと思ったら居住地域で美術系の学校が探せるようになった。美術や造形学部、でなくても、教育学部の美術系のコースが増えたりすることもある。しばらく前に流行ったのは、女子短期大学の家政学部が、4年制になり、共学になり、美術や造形系の専門コースを増設、というパターンである。そもそも家政学部には、インテリアやクラフトといったコースがあるところが多かったので、こういう流れになっている。
もうひとつは、美術学校の学費が以前より高額になってきたということもある。いまどきの美術学校は、建物も設備も新築でご立派、デザインなどの分野だとコンピュータが必須なので機材費がかかる。学費以外に施設費や機材充当費などもあり、こちらもかなりの金額になる。首都圏に出して下宿をさせると、月に10万近くが下宿代食費など生活費、その他もろもろで必要だ。実家から通うのなら学費は出そう、という家庭内会議があったことは想像に難くない。
もちろんこういう時代でなくとも、美術学校を卒業したので作家としてやっていける、などという保証などどこにもない。下手をすれば就職すら危なっかしい。大学が「就職予備校」だと思っているのであれば、教育学部の美術コースの方が、まだ安全に思えるはずだ。

そんな彼らにとっての「普通」、という認識が、実はクセモノである。

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