そういうわけで、ここ数年は授業を地団駄踏みながらやっているので、こちらの健康上よろしくないような気がしている。毎日のように、教える側としては帰宅後傾向と対策を練り、改善策を探り、明日の教材の手直しをする。もちろん授業時間以外のペイはない。ボランティアなのか、習い性となっているのか、というところだろう。たいていの非常勤講師というのはこういった勤務状況ではないだろうか。好きでなければ続かない。
もちろん社会的にこれで良いのか、と言えば疑問が出てくる。明らかに非正規雇用者が大学の授業を支えている。勤務校も専任教員の2倍どころではない人数の非常勤講師がいる。非常勤の立場から言えば、授業実施の時間給をいただく単なる「パートタイマー」なので、大学としての授業を担保するどころの話ではなく、授業時間に出向き、授業をやる、授業時間以外のサービス残業も打ち合わせもなし、にしてほしいところである。そもそも、大学の学生は自発的に「責任」をもって学習することが前提だったから、この手の教え方でもやってこられた。教室に座っているだけの学生が増え、役所が大学教育のクオリティについていろいろとご希望をおっしゃるのだが、大学は設備投資に熱心である。
私などはすでにある程度トシもいっているし、学校以外のお仕事も多少はある。しかし、正直なところ、非常勤だけでは食ってはいくことはできない。組合も共済年金も退職金もない、年度契約だから来年度も雇用されるとは限らない。専業としては、かなり不安定な商売である。若い世代の非常勤だと、本人としては「責任持って学生の面倒を見る」前に、自分や家族の面倒を心配することになる。