2015年6月20日土曜日

変換

今時の学生さんは、デジタル世代、と言われている。メディアではよく「デジタルネーティブ」といった言い方をしているようだ。

そんなデジタルネーティブな世代と風潮に対応してか、「デジタル教科書」を開発中という話題が、新聞に出てくるようになった。

マルチメディア、という言葉が出てきたのが、20年以上前になるだろうか。当時、プレゼンテーションや配布資料用に、マクロメディアのソフトを使って、オーサリングツールを使ったデータを作っていたことがある。動画や静止画、テキスト資料も組み込んだもので、CD-Rに焼いて配布した。shockwaveという無料配布ツールで閲覧するもので、当時のHTMLでは組み込めないファイルやデータを扱えるものだった。ああ、こういうのがあれば、教科書としてはいいなあと思ったものだった。

作成後10年もしないうちに、マクロメディアという会社は買収によって消滅した。作成ツールも開発中止になり、閲覧ツールも開発中止、新しいOSに対応できないので、事実上消滅した。もちろん、作成した資料は、今では閲覧できない。配布したCD-Rはすでに現在のPC環境では再生できない。後日の資料にと残しておいたディスクは廃棄処分にするしかない。同じものを見ようとするなら、作成時に集めた資料を現在閲覧できるファイルに再構成することになる。しかし、同じように再生できるとも限らない。
当時のファイルが今でも「使用可能」かどうか、あるいは現在使われているファイルに「変換可能」かどうか、ということでもある。

デジタル教科書も同じこと、数年は使えるかもしれない。しかし、その数年後も全く「電子業界標準」が同じであるとは限らない。コンテンツのアップデートだけではなく、再生環境や作成プログラムの検証も毎年のように必要になる。現状の印刷物よりも、もっとスピードが要求される作業になる一方で、ツールやハードウェアの都合による再製作も必要になる。それは「使い回し」ができない作業であることの方が多い。

そこまで文科省が「面倒見る」、と言えるのだろうか。

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