2015年6月13日土曜日

撤退

ここ数年、とは言わず、大きな範囲で言えば電子業界というのは、日進月歩である。

先日のことである。
授業で作成したデータをUSBフラッシュメモリにコピーしている学生がいた。授業では動画を扱うので、必然的にデータは大きくなる。ワープロ書類や表計算の書類をコピーするのとはわけが違う。一つのファイルが数GBあるのは、まだ小さい方である。転送速度があまり早くなければ、コピーにもそれなりに時間がかかる。学生さんはそれとて「遅い!」とイライラしたりする。使っていたUSBメモリの規格は2.0、容量は4GB、数年前に買ったものだそうだが、今日のマーケットだと「遅い、小さい、旧製品」である。

5年10年ほど前に使っていたUSBメモリは、1.0、128MBくらいだったことを思い出した。その前はMOというディスク、ZIPディスク、フロッピーディスク、コンピュータをいじり始めた頃は8インチのペラペラした磁気ディスクである。数十から数百KBの容量で、お値段はアルバイト1日分、という印象がある。
ディスクの中身は、ドライブがなくなったら読み出せない。ドライブがあっても、ドライバーがなければコンピュータでドライブを動かすことができない。もちろん、ファイルを見るためのソフトがなければ見ることができない。20年前のフロッピーディスクの中身は、今はもうすでに読み出せないだろう。

平安時代の遺構から木簡が出てきて、解読したら借金リストだった、などという考古学的なお楽しみも、電子業界ではあり得ないかもしれない。
昨日、国内メーカーが光ディスク製造から撤退、というのがニュースになっていた。増えてしまったデータはこれからどうすればいいのだろうか。

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