2014年12月9日火曜日

環境

同居人は、今年度限りのピンチヒッターで地方大学の教育学部へ通っている。朝は早くから出かけて、2時間半かけて授業に行くのである。往復5時間、授業時間の倍以上である。
先週は、多用もあったので、当該の大学へ同行した。授業中は構内散策を決め込んだ。

地方の市街地からほどほどに離れたところ、住宅街のはずれである。東京とは違って、電車もバスもあまり見かけない。大学のすぐ横に自動車教習所がでーんと構えている。マイカーでなければ通えない、ということなのかもしれない。駐車場は広大、学生用教員用職員用来客用と看板はあるのだが、校門前の守衛室は無人、入退出のチェックもなく、駐車し放題である。
国立大学、しかも「university」なのにやけにこじんまりしたキャンパスである。聞くと、学部ごとに違う場所にキャンパスがあるらしい。都内の大学とは違って、ビルとビルの間が離れている。余裕のある土地利用である。単学部のせいなのかもしれないが、人口密度が低い。図書館も小さい上に、オープンな設計で、閲覧室なのに談話室の会話がよく聞こえる。

周りは住宅街で、そば屋も定食屋も牛丼屋も古本屋も学生ローンのお店もない。しかも、なぜか広い駐車場付きの美容院と理容室が目に付く。学生街、とは少し言い難いなあ、と思ったら、同居人の話では学生さんは「遊ばない」らしい。我々の世代、東京の学生だと「遊ぶ」と言えば、酒女博打とは言わないが、まあそれなりにいろいろあった。当該の大学の学生さんは「遊ぶ」と言えば、「誰ちゃんのアパートで集まる」ことなのだそうである。

そんなわけで、学生さんはよく言えば「勉強一筋」、悪く言えば「出不精」。こういう社会とは接点もなく、転落人生とも関係ない環境にいる学生さんが、地方の教育を担うようになるんだなあと思いながら、キャンパスを散歩した。

0 件のコメント: