2014年12月11日木曜日

文明

先日の四国の大雪のニュースを新聞で読んでいた。山間の集落ではIP電話を使っているので、停電時は使えない、というものだ。確かに現在のインターネット中心の情報環境は、停電にはひどく弱い。

東日本大震災の時も、関東地方は停電した地域が多かった。その後しばらくは電力量が確保できない、ということで「順繰り停電」というのが実施された。お宅の地域は何曜日の何時から何時まで、停電の可能性があります、というものだ。自分の居住地がどの地域で、いつごろ停電するのかは、自分で情報を集めなければならなかった。居住地域や行政の区割りと、電力会社の配電地域とは、区分が違うからだ。同じ町内でも、電力供給の区分が違う、というのを、その時に知った。
で、電力会社のサイトで、自分の居住地域のエリアを調べて、計画停電の予定を調べる、わけである。ところが、向かいのおうちは、80代高齢者女性一人暮らしである。とてもインターネットさくさく、という環境には見えない。大丈夫なのかと思ったら、2−3日後に市の広報チラシが配布された。やはり最終的にはアナログな「紙」媒体が一番安心だ。

幸い、うちでは「計画」されたが、「実施」されなかったので、問題はなかった。横浜の実家では「計画」通りに「実施」されて、いろいろと大変だった、と言う話を聞いた。一番先に問題だったのは、やはり電話だ。もちろん、携帯電話の充電は出来ない。家の電話は、NTTの固定回線に加入しているのだが、電話は電源コンセントが必要だ。電話機が覚えていてくれている「連絡先リスト」とか、メモリーが覚えている「留守番伝言」、もちろんファックスなどは使えない。何台かある電話機のうち、着信音すらならないものもあったらしい。結局一番頼りになるのは、40年間玄関脇に鎮座している電電公社時代貸与の電源コードなし黒い電話機だったらしい。通話品質もばっちり、だったそうである。


こんなことが数年前にあったと言うのに、孤立集落ではIP電話を使っている。文明の発達とは、微妙なものである。

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