「2001年宇宙の旅」という映画がある。
1968年の製作当時は、2001年など遠い未来だったのかもしれない。
現在見ても、まだそこまで未来は進んでいるようにも見えない。
映画にはたくさんの宇宙船が出てくるが、「PAN AM」のロゴが入っている。1980年代終わりまでに、会社がなくなるなど思いもしなかったのだろう。その当時の大航空会社だった。
私が初めて北米へ行くために乗った飛行機もPAN AMだった。太平洋路線はやたらでかい飛行機、ぎゅうぎゅう詰めのエコノミーシート、香水のにおいを振りまくCAが配る機内食は、かたいお肉ととてつもなく甘いデザートがついた。
その後、南米に行く時もPAN AMだった。成田からアラスカ、デトロイト、マイアミ経由で、南米に入ったので、あちこちの空港で機体を乗り継ぐ。降りるときに「transit!」と叫んで、案内を乞いながら、荷物を担いで大きな空港内を走る。デトロイトまでは大きな飛行機だったが、その後は乗り換えるごとに飛行機の機体が小さくなり、空席も多くなった。太平洋路線は若い姉ちゃんがCAだったが、国内路線は貫禄あるオバチャンやオジチャンがCAだった。空席にうつって、肘掛けを跳ね上げて、足を上げて寝るといいよ、と教えてくれた。
他にもいろいろな飛行機会社を使ったが、オバチャンオジチャンがCAとして働いていたのはPAN AMだけだった。あのアメリカのアットホームな感じが良かったんだけどなあ、と映画に出てくるロゴを見るたびに思い出す。
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