どんな職業でもそうだと思うのだが、一般の人が考える「基準」と、仕事として考える「基準」が違うことがときどきある。
10年以上前になるのだが、新校舎に写真用の暗室をつくることになった。教室の配当は教務課から割り当てられ、なんとそれが2階の南側の教室になった。
建物外観はミラーガラス張りのおしゃれな建物である。この建物は基本設計が最初に出来て、かなりフレームが決まったところで、教室の配当が決まった。暗室の配当はかなり後で決まったので、この位置になってしまった、というわけだ。すでに外観が決まっているので、内装工事で暗室にするわけだ。
写真、をやったことのある人なら分かるだろうが、暗室をつくるのは大変なのである。
内装工事の打ち合わせの時に「完全暗室」を要求した。真っ暗でなければ、フィルム現像の作業は出来ないからだ。請負業者から仕上がったので見に来てくれと言われ、行ってみたらびっくりだった。窓をコンパネで「ふさいで」いるだけである。窓枠や扉の隙間から光線が漏れている。フィルムどころか、印画紙も危うい。「ぴかぴかに明るい」のだった。
内装業者は、天井照明を消せば、ほら暗いですよねー、と自慢げである。我々には、全く、暗くない。
その後、いやがる業者の作業中に押しかけ、窓に遮光フィルムを入れたり、コンパネを補強したり、暗幕を追加注文したりした。やっと「真っ暗」になったのは、授業開始寸前である。
写真をやっている方から言えば、昼間に完全暗室をつくるのは大変である。個人的には暗室作業は夜間になるし、昼間使う暗室は地下に作った方が遮光はらくちんである。南側になったのは不運だったのかもしれない。
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