2012年11月12日月曜日

スピーカー


担当している授業は、進行上「講評」というのがある。映像系の作品をつくっているので、「講評」と言えば上映会のようなセッティングである。
教室は、プロジェクターがあって大きなスクリーンとディスプレイがある。いまどきのそういった教室は、機械があらかじめ教室に組み込まれている。機材がラックに入って、教卓上のボタンで操作する。教卓の引き出しを開けるとさまざまな「リモコン」があって、それぞれの機械の操作が細かくできたりする。

教室の拡声装置といえば「マイク」である。
私が学生の頃は、教室のマイクと言えばワイアード、長い電線を引きずりながら先生は教壇を右往左往しながら話をして、ときどきけつまずいたり線を踏んづけたりしていた。いまどきはワイアレスなので、現在使っている教卓の引き出しにもワイヤレスのマイクが何セットか入っている。マイクが用意されている、ということはそこそこの広さの教室であると施設準備側が認識しているわけで、ワイヤレスになると教室内をうろうろできて都合が良かったりする。ただ、困るのが「混線」である。

私自身は、講評ではいろいろ資料を眺めたり、メモを取ったり、教室内を右往左往したりするので両手を使う必要があるし、面倒くさいので「マイク使用しない派」である。しかし他の先生方の中には、声が小さいと認識していたりされる人がいて、いくら小さなゼミ室でも「マイク使用したい派」の人がいたりする。
私の教室ではマイクを使わないのだが、なぜかときどきスピーカーから声が聞こえてくることがある。ちょっと明確には聞き取れないが日本語、会話ではなくスピーチ風、力説ではなくて原稿棒読み風だったりする。こっちの話が佳境にかかろうというのに、スピーカーからはぼそぼそと「……そういうわけなので、……この作家の日常的な嗜好が反映されており、……この場所における空間の許容性というのは……」。こっちのモチベーションが、ぼきっと音を立てて折れたりする。

便利になったかも知れない教室の設備であるが、困ることもときどきある。

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