2015年11月3日火曜日

そこにある

同じ課題を十年一日のようにやっているわけだが、もちろん編集側のハードというのも随分と変わってきた。今やノンリニア編集、つまりコンピュータで編集作業することは「あたりまえ」な時代である。

翻って私がビデオで作業を始めた頃は、テープで撮影、テープのダビング編集、である。編集は基本的に1:1、出力側の1台のプレーヤーのテープから、入力側の1台のレコーダーのテープへと、必要な部分をダビング、つまりコピーをしていく。当然のようにダビング回数が増えれば、アナログ信号なので画像は劣化していく。
基本的にカット編集、つまりそれまでやっていたフィルムをつなげる感覚とよく似ている。違うのは、映像の始め、つまりTOPから順序よく、しかも要領よく、ダビングしなくてはならない、ということである。

フィルムでいうオーバーラップやワイプ、という作業は、2:1編集という。出力側だ2台のプレーヤー、入力側に1台のレコーダー、という編成だ。これはタイムベースコレクタという特殊な機械を挟んで2台の出力側のプレーヤーを制御しなくてはならなかった。オーバーラップするための機材は、全部ひっくるめて、当時で1500万円ほどになった。もちろん自前では用意できない。レンタルでスタジオを借りて半日で数万円である。そこまでして作業するかと自問自答しながら小遣いを貯めた。考えに考えて、大枚はたいて、「効果がない」としたら、泣くに泣けない。

コンピュータではそういった画像の加工はかなり自由になる。アナログの時代で言えば、3:1や4:1くらいの芸当は簡単にできる。だから今の学生さんは、お気軽に「芸当」をお使い遊ばす。そこにエフェクトをかけられるスイッチがあるからだ、くらいの意味しかない。

それがどんな意味があり、効果があるかなど、考える暇などないのかもしれないが。 

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