2015年11月21日土曜日

平積み

美術系の勤務校なので、先生も美術系の思考と日常生活である。
退職間際の先生は、最終講義や記念出版で、いつも以上に忙しかったりするのだが、やはり「締め切りに間に合わない」先生もいた。

最終講義がたいてい1月の在校生の学事終了の時期にあり、引き続きパーティーがあったりする。記念出版をする場合は、その時に「お土産」として渡されたりすることが多い。
ある先生は凝り性だったので、編集作業がなかなか進まず、結局最終講義に出版が間に合わなかった。パーティーで手渡されたのは「引換券」である。出版されたら、本をお送りします、と書いてあるのだが、いつ出版されるとは書いてはいない。最後の最後まで本人らしい。

出版なので、それなりの部数を印刷する。ある先生の出版された本は、研究室に平積みにされていた。「ご希望の方はお持ちください」と貼り紙がある。多くの人が出入りするというわけでもないのか、随分長い間積んであった。おかげで、「ああ、あの先生は」といつまでも話題に上っていた。 

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