2013年7月9日火曜日

ラース・フォン・トリアーという映画監督がいる。全編手持ち、といった撮影の映画をする人である。
テレビドラマでステディカムを効果的に利用したのが「ER」というアメリカのドラマである。
ステディカムの方が機動性がよく、登場人物を人混みを縫うように追いかけることができたり、狭い場所に入り込めたりするような感覚を見せることができる。実際には、撮影現場はそれほど狭いわけではないだろうし、照明さんも音声さんもついていかなくてはならないはずだから、見ているほど自由度は高くないと思うが。
個人的にはまあそういった手法を利用したいという向きもあろうとは思うが、乗り物酔いになりそうで大きな画面で長時間鑑賞したくはない。

学生の作品では、ハンディカメラを使わせているせいもあるだろうが、多かれ少なかれ、かなりの頻度で手持ち撮影をする。目的もなく手持ちで撮影しているのは、単に三脚を使うのが面倒くさいからだ。三脚のセッティングをする暇に撮影できるということなのだろう。まあ、隕石が落ちてきた、とか、竜巻が目の前に、とかいう状況ならともかく、授業中にそのような火急な撮影があるとは考えにくい。こういうケースは単なる「面倒くさがり」なので、撮影された画像もそれなり、である。

人の目だけではなく、動物は動きの大きなものを追いかける性癖がある。犬や猫を飼っている人ならよく分かるだろう。「猫じゃらし」などはその利用例である。

手持ち撮影では、フレームの「枠」が最も大きな動きになってしまうことがある。動きの小さなもの、静止しているものを見せるのであればことさらである。オーディエンスは、動きの大きな「枠」に気を取られてしまいがちになり、フレームの「中」に意識が集中しなくなる。だから、手持ち撮影は、それなりにトレーニングされたカメラマンと計算された被写体の動きが必要になる。

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