2013年7月29日月曜日

正対

動画であれ静止画であれ、撮影するときには、まずどうやって撮ろうかということを考える。しょせんレンズと機械である。結局人間の視野や視界と同じように撮影はできない。

動画ではいくつかのショットをつなぐことになるので、「基準」になるショットをまず考えることが多い。例えば人物なら、1ショットで撮影するならいくつもの選択肢がある。同じ方向から見ても、サイズ、アングル、ポジションの組み合わせで、構図はそれぞれ変わってくる。選択肢が数多くあるので、まずは数多くの情報が伝えられる1ショットというのを考える。それが「基準」になるわけだ。それはたいていの場合「正対」の構図である。人物であれば顔を正面から、建物であれば正面ファサードが、「正対」である。必ずしも「かっこ良い」構図ではないかもしれないが、そこからカメラをどちらに振るのか、アングルはどうするのか、というバリエーションで構図を考える。

初心者は得てして「正面」からものを撮らないことが多い。目線が合うような作業は苦手なのだろう。どう撮影しても、斜(はす)から構えた構図になる。人物が斜めで、目線を外されたショットを重ねていくと、歯がゆい感じがすることがある。本人としては「クール」に作業しているつもりなのだろうが、どうしても「腰が引けている」ように見えてしまう。正対は、構図としてはあまりかっこ良くないかもしれないが、インパクトがある。被写体の訴求力がそのまま伝わることが多い。だから、何かを撮影するときには、その「正面」はどこか、ということをまず考えることだ。

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