2012年9月20日木曜日

ラジオ


郊外に住んでいると、車をよく運転することになる。たいがいは、運転しながらラジオを聞いている。景色を眺めながら、コトバを聞き、頭に抽象的なイメージを描くのは、ニンゲンならではのお楽しみである。
ところが、昨今は番組内容がずいぶんと変わってきたなあと思うことが思うことがある。「詳しいことはウェブでリンクをクリックして下さい」などというアナウンサーのリードである。ラジオのリスナーはみんなパソコン片手に聴取しているはずだ、というのだろうか。運転中に聞いているリスナーにそれは無理である。
もっとひどいのは、某公共放送で、リスナーに写真を投稿してもらい、その写真について女性アナウンサーがコメントしているのである。
「あーこれはすごいですよねえ」「いままでにない風景ですねえ」「面白いと思いますよ」。
ラジオオンリーなリスナーにはちんぷんかんぶんである。アナウンサーのボキャブラリー以前に、ラジオ番組で写真を投稿というアイディア自体が何かなあ、と言う気がする。

メディアミックスというコトバがある。ただ、こういったラジオ番組の制作にとって、インターネットの情報発信とグロスでしか発信できないのであれば、ラジオ番組という形態が果たしていいのだろうか、という気がする。新しい聴取方法を模索してリスナーを少しでも増やしたい、という意気込みしか感じられない。パソコンやスマホ片手でなければ楽しめないのはラジオ番組、と言えるのかしら。
もっと怒るのは、先端メディアについていけないシニア世代である。インターネットすら使っていないその世代にとって、ラジオならずとも「詳しい情報はウェブで」「ウェブでショッピングならお買い得」「ご予約はウェブから」などというリードすら「排他的」なのである。だからといって今さらインターネットを使いこなせるとは限らないし、老い先短く、そんな気もあまりないので、なおさら「排他的」に聞こえるのである。インターネットを使えない世代は損をしろ、とその世代には聞こえるらしい。

そんなこんなもあって、授業ではメディアの特質を理解した上で、それに出来ないことはそのメディアで表現することに固執しない、というのをルールにしている。制作したビデオの続きはウェブで、はあり得ないというのが、課題の前提である。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

Wi-hiやインターネットにつながっていれば、スマホのアプリやPCのソフトでラジオが聴けてしまうのですよ。

なので、ラジオ番組でも電話だけじゃなくてメールやツイッターでご意見をお寄せ下さいというのが、当たり前のようになってきましたね。

苦労冠者

6290 さんのコメント...

でもやっぱり運転中は無理だし、入院中も無理。便利になったり、当たり前になってきたことで、不自由に感じることが時々あったりします。