2012年9月9日日曜日

ニアミス


知人が、同じ大学の違う学科に入学したのは4月のことだった。
あちらは同じ大学だから、構内で出会うこともあるだろうと思っていたようだが、「意外にも」なかなか会いませんねえ、などという話を、7月になってから伝え聞いた。

とてつもなく小さい学校、というわけではなし、そこそこの人数もいることだし、お互い授業にいそしんでいるわけであるから、そうそう会うものでもないだろう。

そもそも、私の学生の頃とはずいぶんと学校の状況も変わっている。
以前は授業が終わると居場所がないので、構内のあちこちでごろごろしていた。その学生の定位置、というのがあった。昼休みにはだいたいあそこのベンチのアタリ、でつかまえることができた。建物が増え、教室も増えた。学生の居場所がたくさん増えたので、教室や工房内が「定位置」になりつつある。
冬はともあれ、夏になると教室内は暑いので、廊下に机を出して、バケツに水を入れ、足を突っ込んでミーティングしていたりした。教室で授業であっても、窓やドアは開けっ放し、網戸無し、蚊遣りを焚きながら、話し込んでいた。今や、冷暖房完備になった。冷暖房効率のために教室は窓も開けない「密室」、建物は完璧な「箱」である。外から授業が見えないし、開けっ放しの教室もない。学生は授業が終わるとすぐに学食へ行って、涼みながらお弁当である。

ニアミスの機会が格段に減っているのである。

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