助手として勤務していた時分、夏休みには写真の授業の夏合宿、というのがあった。
ノルマではなく有志で、先生と一緒に、清里にある学校のセミナーハウスで2-3泊遊ぼう、などという軽いものだった。今は、いろいろと手続きが煩雑になったりして、あまり実施されないようで残念であるが。
現地集合、現地解散、お決まりは朝食前のご挨拶と、みんなで夕食を食べることくらい、である。学生の都合もあって初日だけ参加とか、お泊まり無し、などというのもいたが、大イベントはやはりバーベキューに肝試し、というところである。
肝試しは、そういったことが好きな学生が、事前に仕込んだり、ルートを決めたりして準備する。途中に出るお化けなどもいろいろ工夫する。まあ、楽しいイベントである。
バーベキューは施設内の屋外コンロを借りるのだが、食材などの準備は自前である。先生の自家用車で近所のスーパーへ肉や野菜の買い出しに行って、学生が分担して下準備をする。
途中で、ご飯用の米がないことに気付いた。
「お米、誰か買ってきてる?」
肉やたれやキャベツに没頭して、誰もご飯粒は気にしていなかった。あわてて学生に米を買って、仕込まないと夕食に間に合わないヨー、と注意する。
元気よく、はーい、買いに行きマースと返事をする学生がいた。じゃーよろしくーと、送り出す。
2-30分でお米買い出し部隊が帰着。しかし手ぶらである。
「重たいので配達頼んじゃいました。すぐに来るそうです」
領収書の金額がびっくりするほど高い。学生は最高級の魚沼産コシヒカリを購入してしまったのだろうか。しかしそれにしたって高すぎる。
しばしの後やってきた米屋の軽トラックから降ろされたのは、やけにでかい米袋である。
まいどー、と帰ったあとで、眺めると、コシヒカリではなかったが、米は20kgである。
当日のバーベキューの参加人数は20名。買い出しに行った学生は、1人あたま1kgで米を購入してきたのである。
お母さんのお手伝いをしたり、自炊をしている学生を買い出しにやるべきだった。
もちろん炊いたのは、2kg程度、残りはセミナーハウスの食堂に買い取ってもらった。
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