2012年8月11日土曜日

定年後


通学生にとっての夏休み、通信教育課程では学内を使って「スクーリング」をしている。
普段は郵便や小包で課題やレポートをやりとりしているのだが、いくつかの単位は、教室に出向いて実技をして取得する、というシステムになっている。
地方に在住しているが、美術を学校で学びたかったり、教員資格を取りたい、といった人が「学生さん」だったりする。10年ほど前に短大から4年生になったので、堂々「学士」の資格も取れるわけである。
スクーリングは、入学年齢不問、入学選抜試験もないので、さまざまな学生さんがいる。教室やアトリエでは、先生より年齢は上、といった学生さんもいる。通学の方では、学生さんの年齢はほぼ横並びなので、新鮮な風景でもある。
私が大学に勤務していた時分に、父が定年になった。退職者のOB会や、学校の同窓会では、「定年したら何をするのか」というのがその世代の話題だったようで、ある日そんな会から帰った父が言った。
「会社で同期の○○くんが、お前の学校の通信教育課程にいるらしいぞ」。
父の勤務していた会社は金融系、お堅い商売である。○○くんは定年退職後、趣味に生きようと思い、昔志した絵画の道を歩もうと思ったそうである。まず、学校に通おうと思うのがお堅い商売していた人らしいなあ、と思ったが。

数日後、父の友人の受講している授業の終了を待ち構えて、挨拶に行った。その頃は、学内の冷房設備はほとんどなくて、暑い構内だったが、汗を拭き拭き、大きなカンバスを抱えているオジサンは、とても楽しそうだった。

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