2013年6月28日金曜日

予想

さて、使っているのはもちろん、ビデオカメラであるので、録画をすれば同時に録音する。
録音中は外部のモニタースピーカーには出力しない。ハウリング防止である。
録画後は現場でプレイバックすることを教えているのだが、たいていの場合は画像を確認するだけである。
録画した画像は編集のために編集室で再生確認する。もちろん、外部スピーカーが接続されていて、録音した音も確認できる。

あるグループでは、同じグループの女子学生を「役者」にして撮影していた。風に髪なびかせる乙女、といった風情を撮影したかったんだろうなあ、と思う。絵は、きれいなものである。台詞があるので、録画した音そのままを最終的には利用したいらしい。学生は得意満面で音量目一杯にあげて、再生確認しはじめた。

「…あ、そこに立って、うーん、もう少し横向いて…」
「…そうそう、そこ、いいねえ…」

最初は控えめに女子学生に指示を出す声が入っていた。
「…本番、行きまーす…用意、スタート!」
女子学生はおずおずと歩いて、木陰に立つ。
「…あー、いいねいいねー、ため息ついてねー台詞ねー」
これはカメラマンかディレクターの指示音声が入っているようである。
女子学生ため息をつく。
「…ほーっ……(遠くで聞こえない)…」
「…あーあーあー、セクスイーに、いいねいいねー、ふむううううう(鼻息)」

グラビアの写真撮影会みたいである。カメラを構えている学生は、どうもそういった趣味があったようである。
まあたいてい男子がカメラを担当するとこうなるが、女子がカメラを担当するともっと違う会話が入ってくる。

「よーし、いいよー、ところでさー、あんた」
とそばにいる他の学生に小声で話しかけたりする。
「A君てば、あんたのこと気になってるみたいだけどさー、あんたどう思っているのよ……、はいカットー、良かったよー」

いや良くないよ、カメラに集中しなさいよ。

毎年何例かはこのように、「予想外の録音」がある。

教訓1 ビデオカメラで撮影する時は音声も録音される。
教訓2 遠くの役者の声よりも、近くのカメラマンの声の方が明瞭かつ大きく録音される。
教訓3 録画中はモニターヘッドフォンが必須である。
教訓4 録音された音声は分離できない。つまり、ため息だけ音量を上げる、カメラマンの独り言は消去する、なんてことはできない。

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