2013年6月16日日曜日

課題違反

美術学校の実習授業では、たいてい何かを「制作」する。
私の授業では機材を扱ったり、教室外で撮影の作業をしたり、ということがあるので、さまざまな「条件」がつくことになる。
例えば、「機械を壊さない」「授業中に学外へ出ない」などというのは常識に近いとして、制作する作品の長さや技術的な条件などが色々あったりするのである。

私の時代で言えば、受験に「平面構成」というのがあった。お題が短い文章で示されて、それに対してポスターカラーなど使った色面で平面構成するというものである。例題も参考作品も、受験だから当然、ない。指示された文書から逸脱したものはすべからく「課題違反」であるので、採点の対象にならない、つまり不合格である。「三色で」構成しろ、という文章なのに、五色使えば問題外の外である。
競争率がそれなりに高かったので、課題違反で不合格などあってはならない。だから、問題文の読み込みと正確な理解は必須である。

翻って授業中の学生さんの作業を見ていると、課題文の読み込みが甘いなあと思うことがよくある。自分の都合の良いように解釈してみたり、拡大解釈してみたり、条件の一部を読み落としたり、という具合である。

入学倍率も下がったことだし、我々の世代とはそもそも鍛え方が違うのであるとあきらめがてら、今日も今日とて課題の条件を毎朝呪文のように唱えてから課題の作業にかからせるのである。

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