担当しているいくつかの授業では、人物や場所を取材してまとめることがベースになっている課題がある。
美術のみならず、いくつかの学問分野では「見る」ことは基本である。
テレビを見ていると、実に多くの人、ことやもの、場所が「取材」されている。
1時間近いドキュメンタリー番組もあるし、ニュースやバラエティ番組の「コーナー」としてまとめられたものもある。
ドキュメンタリー映画は、映画館で見ることは少なくなったが、質の良いものはたくさんある。
取材をしてまとめる、といった方法は、社会学の調査といったカテゴライズであれば、系統立てて教わるのだろう。しかし、こちらの授業は社会学的調査が目的ではないので、フィールドワークの概論をざっくりと教えて、あとは実地で作業することになる。
最終的には映像としてまとめていくことになるので、作業は最終的な完成作品を常に頭に描けることが前提だ。自分で「見た」ことを、映像という表現手段で伝えることになる。
「見たことのないもの」「見てはいないもの」を伝えるのは、実は難しい。しかし学生さんにとっては、「見たこと」「見たもの」を伝える方が難しいことがある。