友人の兄上の訃報が届いた。年齢としては還暦を過ぎた頃で、早いと言えば早いのだろうが、人生40年と言われた時代もあった。彼なりに、走り急いだのかもしれない。
美術史を学んでいると、「夭折」という言葉によく出くわす。短い画家生活の中で、大作を若い頃からそれなりに出した人もいる。今さら枚挙に暇がない、などとは言わない。一方で、長命で不遇、隠遁生活を送りながら、ひたすら描き続けていた人もいる。人生の長短と、作品の点数や評価など、本人の「人生の満足感」とは、最終的にあの世で本人が考えることなのかもしれない。
「太く短く生きようよ」とは、昔見たドラマの台詞ではあったけれど、このトシになるとお祝いごとよりも、寂しい知らせも増えてくる。残された家族が感じていることは、友人としては計りしれない。ただ、付かず離れず、見守っていた様子が伺えて、だからこそ兄上も安心して旅立ったのだと思いたい。
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