2016年12月31日土曜日

書類

今年も年の暮れである。
非常勤講師をしていると、年の暮れの行事は採点結果の提出、来年度のシラバスの執筆、それから折り返して教務課から「来年度の出校のお願い」などという書類がやってくる。
昨年度から書類の様式が変わったなあと思っていた。いつもは「来年度の非常勤講師」の「辞令」というちょっと仰々しい書類が入っていた。それがいつの間にか、なくなっていた。
雇用契約に関する法律の変更に伴うモノだったらしい。非常勤は、「正社員」にあたる「専任教員」ではない。大学教員任期法改正により無期契約転換申込権の発生する非常勤を10年続けても、大学としては専任教員には格上げできない。勤務校では、非常勤がかなりの高比率である。つまりそれで「経営している」ということだ。
また、10年以上非常勤を続けるためには、「1年に限る契約」を繰り返す、しかも従来の定年を5年前倒し、という作戦になったようだ。
同居人は、公立の学校で非常勤をしていたが、その時は毎年4月に雇用され、3月に退職をする、という方式だった。来年度のシラバスを書いているにも関わらず、3月に「退職願」、4月に「履歴書」を提出、という不思議なやりとりをしていた。
勤務校の場合はもっと細切れで、私の授業は5月始まりで10月に終わるので、雇用期間は「5月から10月」という書類になっている。しかも、びっくりしたのは身分証明書で、「裏面の授業期間内に限り有効」で、裏面には「5月から10月」という但し書き付きである。おおお、これでは11月から4月までは勤務校の福利施設や図書館を利用できない、ということか。
もっとびっくりしたのは、非常勤講師仲間で、お子さんが保育園に通っている人だ。「来年度の雇用期間は4月から3月」、つまり「通年」ではないので、保育園に通える資格がなくなりそうだという人がいた。どちらにしても非常勤は1月から3月までは授業期間ではないので、当然のように全員が「通年契約」ではなくなるわけだ。これを無理無理「通年契約」という書類にしてしまうと、3年で非常勤を辞める羽目になる、というルールらしい。もちろん、保育園に預けずに仕事を続けるのは難しい。保育園に預けるお子さんをお持ちの女性非常勤講師はますます辛くなる、という構図である。その後書類が整ったのか、確認せずに授業期間が終了したので、来年度の動向を心配している。
政府の掲げる女性活躍が云々とか、大学の教育環境やら基礎研究がどうやら、という次元ではないのでは、と、少し怒りながら書類を眺めている大晦日である。

0 件のコメント: