自分のお仕事としては美術館のワークショップの記録というのをやっている。ワークショップという言葉は、昨今では一人歩きしているようなので、定義としてはさておいておく。一般的には、講座や教室のようなものだが、テキストやカリキュラムがなく、成果ではなくプロセスを楽しむ、あるいは学ぶ、というものが多い。講師、あるいはファシリテーターというリーダーの指示に従って、参加者が作業をする。
学習指導要領も何もないので、その開催場所や日時、リーダーの指向で内容はいろいろである。全く同じ内容のものはない。
…だろうなあと思いながら、ある日インターネットで検索をかけていると、妙なモノが引っかかってきた。「ワークショップのパクリ」である。いわく、「ある人のワークショップの内容を、そのまま自分のモノのように他のワークショップで開催している。著作権などはないのだろうか」といった内容だ。
ああこの人は、ものすごーく時間をかけて内容を練り上げたのだろう。デザインや美術の分野で言えば、著作権というのがあるので、「パクらない」といのが不文律である。時代がデジタルになって、インターネットでさまざまなものが拾えるようになって、その考え方が多少緩くなってはいるのだが。だから、同じような内容のモノを、断りなく実施されてカチンときているのだろう。
一方で、「授業のネタ」の視点で言えば、材料やプロセスが公表され、同じように授業をやっても、同じ結果が得られるとは限らない。だから勉強会だったり、意見交換会だったりが盛んだったわけだ。
プロセスが同じだったとしても、リーダーや参加者、場所や日時で、成果はそれぞれ違う。もし似たような内容を開催したいのであれば、先行実施者を探すだろうし、似たような内容でやりたいのだがとヒトコト断れば、先行実施者はもっといいアイディアを提供するかもしれない。教員であれば、たいがいそういう人が多い。いまどきの先生は「マニュアル」慣れしているので、「臨機応変」とか「アレンジ」などが苦手なのかもしれないが。
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