どのような会でも、主な作業はいわゆる「情報交換」である。自分の授業の内容を発表、というのが多い。新人は授業のネタを探し、先輩はいろいろな授業のコツを伝授する、という感じだ。あとはお決まりの「懇親会」、授業内容以外の「情報交換」である。
同居人の専攻は図画工作である。小学校の授業というのは、教科書もあるし、学習指導要領もある。ある程度中身は決まっていて、授業の内容も決まっている。図工の場合は、教科書にあることをやらなければならない、教科書以外のことをやってはいけない、というような「範疇」が、ある程度緩いような印象がある。もうひとつ、小学校の図工の場合、専任で教える教員がいる学校と、いない学校がある。美術学校出身の教員がいる学校もある。先生の方を見ていると、ベースが違うこともあって、得意不得意があったりする。
そういうところで、いわゆる「教材屋さん」という商売が成立する。図工方面で言えば、「卒業制作用壁掛け時計工作キット」みたいなものだ。ある程度の大きさの板が数枚と、時計のムーブメントと針とネジなどがビニール袋に一式入っている。板には予め目印があり、小さな穴が開けてある。板に工作するとか、絵を描くとか、彫り込むとかして文字盤として仕上げ、穴に針とムーブメントを組み込んでネジ止めすればオッケー、なセットだ。こういうのがないと、先生は人数分のムーブメントと針とネジを発注し、木材屋に板を発注し、予めサイズに切ってもらっておくなど指示を出さなくてはならない。穴を子どもに開けさせると、穴の位置が違ったり、大きさを間違えたりして、余計に手間がかかる。図工の授業というのは、準備が大変なのである。
さて、図工の先生たち、というわけだから、もちろんちょっと「変わった人」もいる。こういった「安心楽々キット」みたいなものにアンチな人たちだったり、他の人と違うモノを子どもにつくらせたかったりする。だから、他人の「授業」が気になるわけだし、他の学校の授業も参観しに行ったりする。
まあ、そもそも、先生にこういうパッションがなければ、面白い授業にはならないのだろう。それが「ブラック」になってしまう理由のひとつだったりするのだろうが。
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