授業が終わるとしばらくは放心状態、である。先生業は、私としてはエネルギーを使うお仕事、である。
しばらくは授業の後片付け、学生の提出作品の整理をしていると、来年度のシラバスの執筆依頼が来る。大学の授業日程などスケジュールが決まり、送られてくるので、それにあわせてスケジュールを組む。
考えてみれば、この時期に授業をやっているクラスは、現状を見ながら来年度のことも考えなくてはならず、今年度の反省など盛り込む余地がないのではないかと心配になる。
私が学生の頃は「授業概要」程度、どの授業も数行で「何について論じる。テキストはあれこれ」くらいの記述だったような気がする。現在は、もっと記述のルールが厳しい。主語は学生、目的と内容を切り分け、スケジュールは日割りで、採点基準を明確にして、質問に来る学生のためにオフィスアワーを明示、などと「記述の手引き」にあったりする。がんじがらめである。いや、勤務校にオフィスアワーなどという、大層なモノがあったのか。
実際の授業では、学生の動向を見ながら、方向修正したり、スケジュールを調整しながら進めていく。シラバス通りにやっていると、学生がついてこられないこともあるし、反対に学生が馬力を出してしまい、時間を持て余すこともある。相手は「ナマモノ」である。スケジュール通りにやっていくのであれば、オンライン講座と変わらない。
一番がっかりするのは、授業に来ているのに、シラバスを読んでこない学生が、かなりいることだ。シラバスに「初日に持参するモノ」だったり、事前学習を指示していたりするのに、初日にやってくる学生は「そんなもの知らない」状態だったりする。選択科目なら、シラバスを読んで、選択の目安にするのだろうが、必修だと読む必要がないと思っているのかもしれない。10年ほど前までは、分厚い「シラバス」という冊子がどーんと3冊セットで配布された。まあパラパラと読む、可能性はあるかもしれない。現在は「webシラバス」という方式である。シラバスサイトに学生アカウントでアクセスして、授業科目名や開設期間、授業曜日で検索する。うーむ。必要な科目の内容は検索しやすいが、横断的あるいは斜め読み、全体の大まかな把握がしにくい。必要なことだけ読む、という方法になるのだろう。授業名、開設曜日と時間、くらいなのだろうか。
ひところ、受け持っている選択科目の授業の受講希望者が減少したことがあった。担当している研究室の専任の先生に、受講希望者を増やしたいんだが、と言われた。増やしたところで、授業で見られる学生の数はそう多くはないのだが、結局受講希望者が少ないといわゆる消去法で選択する学生が多くなり、モチベーションが上がらないのではないか、というのだ。まあ、そういう見方もあるのか。
結局、最低限学生が見るのは、授業名、開設曜日と時間、くらいなので、アピールポイントは授業名。案の定、授業名を変えたら受講希望者が増えた。シラバスの内容は変えていないのに、である。人間は案外と単純なモノかもしれない。でもやっぱりちょっとがっかりである。
0 件のコメント:
コメントを投稿