2017年3月6日月曜日

真実

通信教育課程では、数年かけて単位を修得する学生が多いので、課題の内容をおいそれとは変えられない。数年かけて様子を見ながら、根回しをせねばならない。
たまたま、担当している専任教員が変わったことと、資格取得の取得条件が変わったこともあって、受け持っている科目の一つは来年度、つまり4月から課題変更である。
さて、現在の課題は、マスメディアである新聞の読み比べ、といったものだ。一紙しか新聞を購読しない、というご家庭が国内では大多数である。いまや新聞すら購読しない家庭もあったりはするのだが。まあともあれ、数紙を並べて読む経験がないと、新聞とはかくも違うものかということはわからない。
そんな感じのレポートなのだが、学生の文章に意外に多いのは、「マスメディアは真実を伝えるべき」といった内容である。
そういったことを考えてしまうのは、ある意味でとても危ないことでもある。伝えるべき真実とは何なのか、それを考えずに、新聞は真実を伝えている、はずだと思ってしまうからだ。
かつて新聞がスクープと称した記事が、実は誤報であったり、ガセであったりしたこともあった。喉元過ぎれば、ではないが、そういったことを覚えてはいないのかもしれない。真実を伝えているはず、という前提でものごとを受け取るようでは、トランプ流に言えばフェイクニュースをそのまま受けとってしまうことにもなる。
報道記事を書くときに気をつけろ、と言われたことがある。事件にはそれに関わった人の数だけ真実がある、ということだ。ある人にとってはそれは「正しい」ことだが、他の人にとっては「正しくない」こともある。戦時下のメディアがそうであったように、である。
2013年に行われた新聞広告クリエーティブコンテストの最優秀賞である。
http://www.pressnet.or.jp/adarc/adc/2013/no1_b.html
こういった作品が「新しく」評価されること自体が、実は危ういのではないかと思う。

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