まあそんなわけで、トマトの画像をスマホで見ながらスケッチしている人を後ろから見ていた。トマト、の特徴が、イメージとして思い浮かばないのであれば、スマホで検索、というのも便利な手段ではある。こういう人は、イメージを脳みそにスタック出来ない人なのかもしれないなあ、と密かに納得する。
例えば近所の農家の無人販売所にお野菜を買いに行く。スーパーと違って、野菜の品種などいちいち書いていない。一袋100円、という貯金箱が置いてあるだけである。丸くて赤いのが「トマト」だと思っているので、買って帰ったら家人にそれは「赤カブ」だと怒られる。えーカブなの−、と叫んだら、「違うよ、リンゴだよ」と別の家人に言われる。いやいやそれはレッドオニオン。販売所でスマホで検索しなかったのが失敗の元、ではなく、それ以前だろう。
例えば秋になって、子どもと一緒に山に行く。ハイキング、山登り、あるいはキャンピングカーで一泊、である。実りの秋、なので、木の実やキノコもある。おいしそう、と子どもが手を出す木の実が有毒ではないか、おいしそうなので今日の晩ご飯のおつゆにいれようとむしったキノコが「ワライダケ」ではないのか、とふと考えたときに、その場で「スマホで検索」するのだろうか。圏外であれば検索も出来ない。キノコ図鑑をメモリに突っ込んで持っていくのだろうか。おつゆが出来た頃に通信が出来て、「有毒」だと知ったらどうするのだろうか。うーむ。キノコ狩りも無人販売所も大変である。