2020年3月23日月曜日

みかん

母親の続きである。
食べるものや食べる量が少なくなっていく。端で見ているとちょっと切なかったりするのだが、ホームの介護士はなんとかして経口で食べさせようと、あの手この手を考えていく。
普通食の次は、「刻み食」。その次は「ほぼペースト」。その手の食品は、介護用品売り場で見かけるようになってきた。同居人の両親の時は、そういった商品はまだなかったので、ベビーフードを使ったりしていた。
母親の方は、食べる量とものにかなりムラがある。12月からは、「お食事」はお嫌いで、もっぱら「果物」がお好みになった。言語による意思疎通が難しいので、あれこれ試してみないと分からない。果物を抱えてホームに何度か通って、10月以降は「温州ミカン」がお好みになった。シーズンで良かったものの、夏になったらどうしようと内心びくびくしていた。生のミカンが店頭に並ぶのは2月半ばくらいまでで、シーズンも終わりになると種入りが増える。夏になっても「ミカン」と言われても、生のものは入手しにくい。うーむ、落語の「千両みかん」が脳裏をよぎる。

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