私にとっての家庭生活で、とんと縁がないものに「出前」がある。個人的な家庭の事情とか嗜好などがあるのだろうが、実家がほぼ外食のない家だったので、必然的に出前もなく、当然私も出前に慣れずに育った。出前という制度に慣れたのは、勤務先でよく利用していたからだ。勤務先では、出勤する先生に朝一番、出前の注文をとる。集計して、あちこちに注文する。非常勤の場合は料金を徴収。専任の先生は「つけ」にして、月末にまとめて徴収。というルールだった。出前先は、蕎麦屋、定食屋、中華屋などいくつかあって、定休日が違う。店ごとに、注文の〆の時間が違うので、それに併せて注文を電話する。昼飯で、午後の授業のテンションが変わる先生もいるし、昼飯時のおしゃべりでそれなりに息抜きしてもらうので、まあそれなりに、地味だが一応お仕事、ではある。
その後、ヘルシー弁当屋とか、カレー屋とか、FAXで注文とか、1週間まとめて注文とか、インターネットで注文とか、いろいろなお店や制度が出てくるようになった。変わらないのは、昼飯を持って来てもらう、ということである。
先日も研究室でお昼の注文をスタッフがとっていた。たった1人前の注文で出前を取るのは心苦しいので、たいていは2−3人前になるように配慮する。「あのー、今日はここの店で注文してもらえますか」。たいていの人は、あまりわがままは言わない。
ところが先日、11時頃を過ぎて出前を頼んだ蕎麦屋から電話が入った。料理が届けられないそうである。出前の店員がいなくて、出前が捌ききれないそうで、ここ数日はかなり出前をセーブしていたらしい。店主は電話先で「人手不足で」と嘆いていたそうだ。
世間では人手不足と言われている。さもありなん。
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