2017年2月5日日曜日

オールド

拙宅で見られるノンフィクションのチャンネルで、同居人のお気に入りは、DiscoveryとNational Geographicである。硬軟取りそろえたコンテンツで楽しんでいる。お気に入りはクルマ関係である。
チャンネルの本拠地、アメリカやイギリスは、日本とはクルマ事情がずいぶんと違う。特にお気に入りなのは、古いクルマをレストア、あるいはカスタマイズするもので、イギリスの番組だ。クルマのレストア、というのは、日本の車検制度ではなかなか難しい。アメリカでは高校でクルマの整備の授業があったりするようで、簡単な整備は自分でやってしまう。日本の場合は、ほとんどブラックボックスになっているので、いじれること自体も、うらやましくもある。
番組では20年オチは当然、40年50年という年季のいった古い自動車をレストアし、検査を通して再び車道に戻す。もとより交換部品がなかったり、整備費用や整備期間が限られている。とうぜん、舞台になっている整備工場だけではレストアは出来ない。シートはシート屋さん、タイヤはタイヤ屋さん、メッキはメッキ屋さんに外注に出かける。こういう古い工業製品を整備できるイギリス、というのはいいなあ、と眺めている。職人作業を見せてもらっているわけだが、概してオジサン、いやジイサンが多く、若者の担い手があるのかとちょっと不安にもなるが。
日本の整備状況で言うと、車の不調が、と持ち込むと、たいがいはアッセンブリ交換といってパーツの塊をごそっと入れ替えられる。単に、あそこのゴムの具合が悪いので、パッキンだけ換える、というわけではない。確実で簡単、なのかもしれないが、なんとなく機械をいじっている感じがしない。
番組では、レストアは無事に済んでめでたしめでたし、という結末になるのがお約束なので、安心してみられるのもいい。古いクルマが「生き返った」感じも、職人作業が見られる感じもいい。残念ながら、こういった古い工業製品を維持し、使い続けられる制度や社会環境は、日本にはない。買い換えることで、需要を増やして、経済を回そうとするからだ。特に、数年来流行のハイブリッドやEVなど、電気、バッテリーを使うようなクルマは、ほとんど消耗品になる。50年前の電気自動車が動く、とは考えにくい。どちらが長期的にいいのか、よくわからないが。

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