2021年3月15日月曜日

名前

 犬と暮らしていると、散歩は必須である。ある意味、義務になってくるので、それが出来る人と出来ない人で、犬を飼えるかどうか決まってくるのだろう。犬には人間同様トイレ関係とか、食後の運動とか、犬なりに生活時間帯があるようで、実家では定時に散歩というスケジュールが出来ていた。散歩をしていると、同じように、散歩している犬+人間と出会う。犬同士が挨拶したり威嚇したりするわけだが、そんなことが数回続くと人間同士が顔見知りになる。面白いのは、犬の名前は教え合うのに、人間の名前は教え合わないことが多かった。人間の子どもの付き合いと似たようなもので、「ポチのママ」「マロンのパパ」などと呼び合うようになる。挨拶は、「おはよう、ポチは今日も元気だねえ。ママもお元気そうで」という具合である。

ある日の夕方、実家の呼び鈴が鳴った。どなたですかー、と聞くと「サクラのママでーす」というお返事である。どこのスナックのオーナーか、家人が飲みに行って忘れものでもしたのかと思えば、犬の「サクラ」ちゃんの飼い主であった。

2021年3月9日火曜日

ハイホー

 実家に犬がいたときは、近所を一緒に散歩した。一人で歩くのとは違って、犬なりに気になる家があったり、気に入ったルートがあったりする。犬種はビーグルで、ビーグルの常なのか、鼻を常に地面にくっつけて歩く。ひたすら嗅いでいるのだが、相方の人間としては地面を嗅ぐわけにはいかないので、近所の家の庭など鑑賞する。いわゆる新興住宅地なので、ほとんどが同じ大きさの敷地に、似たような大きさの家が並ぶ。それでも建て売り住宅地でないためか、それぞれ家の意匠が違う。家はもちろん、庭などもそれぞれ違うので、季節折々で表情が変わる。

通り道に、植木鉢が整然と並ぶ家があった。小さな草花が、いろとりどりの花をつけている。季節ごとに植え替えるのだろう、花の途切れることがない。その家の門扉から玄関先まで、陶器で出来た小さな小人さんたちが並んでいた。ディズニーのシンデレラに出てくる小人さんのキャラクターである。密かに「ハイホーのおうち」と命名していた。

一緒に歩く犬がいなくなって、10年以上になった。先日久し振りにその家の前を通りかかった。植木鉢は健在で、ガーデニングに精を出しているようだが、小人さんたちはいなくなってしまっていた。うーむ、ハイホーのおうちではなくなってしまった。おうちの名称を変更せねば。

2021年3月6日土曜日

レシピ

 そんな話をしていたら、そういえば、という友人がいた。

昨今は、レシピ本でお料理が作れない人が多いらしい。もっぱらレシピサイトの動画を見ながらつくるのだそうである。まあ、具体的に見ながらつくれるのは確実だが。だから、「千六本に切っておいて」では通じないらしい。

課題文を読み込んで完成形態を想定するのではなく、具体的なビジュアルの完成形態を見なければ作業できないのかもしれない。

料理なら、着実に同じものが出来るのだろうが、ハプニングとか、瓢箪から駒などという状況はあり得ないのかもしれない。実はそれが面白いものだったりする、かもしれない。


2021年3月5日金曜日

サンプル

 ここ数年のことではあるが、学生さんから「参考作品を見せて欲しい」とよく言われる。なぜか、と問えば、「良い評価の作品をつくるため」である。

作業の合間も、機材の使い方についてよく質問する学生がいる。「使い方については自分で取扱説明書を読む」ことが前提なのだが、「わかりません」と来る。いやいや、いまどきのデジタル機材、特にコンピュータのアプリケーション上の作業は「アンドゥ」がきくので、「やってみて」と言うのだが、やる前に聞きに来る。

授業の課題は「トライ アンド エラー」がモットーなのだが、どうも様相が違う。学生さんは、「トライ」したら「サクセス」する、あるいは「サクセス」するために作業するので、「トライ」という認識すらない。エラーすることを厭う、言い方を変えると「無駄骨は絶対折らない」ようにしたいのかもしれない。

2021年3月4日木曜日

ニューライフな学期末

 コロナコロナと騒いでいるうちに、あっという間に月日が過ぎた。書きためてはいたものの、気がついたらずいぶんと更新せずにいた。いかんいかん。

さてここのところの動向である。

通学課程の方は、基本的には対面授業だが、登校自粛や公欠扱いの学生もいたので、二重三重に授業内容を用意しなくてはならず、つまりいつもよりもえらく忙しかった、というのが正直なところであった。やっと12月に採点のための作品が揃ったのだが、1月半ばに提出しない学生が1名おり、動向が分からずやきもきした。留学生だったのだが、本人的にはどうも早々に留年を決めていたらしい。日本未入国でもあり、また入国しても自国と自由に往来できるわけでもないので、選択としてはうなずける。

通信教育課程では、フィールドワークを課している課題がいくつかあり、こちらも感染症対策で代替課題を準備した。課題内容が増えたのと、ステイホーム効果で提出が多く、こちらもいつもより忙しい。年度末に向けて、ただいま絶賛採点作業中である。

2021年3月3日水曜日

ニュー

 「新しい生活様式」などと言われてしばらく経つ。いきなりそう言われても、そうそう生活など変えられるものではない。家を出て、数歩歩いて、「あっ、マスクマスク」などと言って、走って戻るようなことを何回もやっている。しばらく前から、市中に「マスク」という商品が出回るようになったので、「マスク忘れた!」と青くなることはなくなったが。

あちこちでアルコール消毒液を使うせいか、手荒れが目立つ。夏からハンドクリームを使うようになった。冬になったら尚更である。

そんな「新生活様式」も、慣れた頃終わるのではと思っていたが、あにはからんや、すでに1年である。なんだかなあ、と思いながら、慣れないなあ、慣れたくないなあ。しかし、1年も経つと、本当に元に戻るのか、疑問に感じてしまうこともビミョーである。